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食肉の加工販売における偽装

概   要

 食肉加工卸販売会社A社は、牛肉に異種肉、内臓等を混入して「牛ミンチ」として出荷したり、産地、ブランド、賞味期限を偽装、改ざんしたりするなど、悪質な手口で数多くの不正行為を日常的かつ長期間にわたって行った。

内   容

 A社は、1976年に北海道で設立された食肉加工卸販売会社である。社長は、設立前、別の食肉会社で役員を務めており、そこで馬肉と牛脂で「牛カルビ」と称し、通常の半値で販売していた。

 A社は、設立後の1983年頃以降、豚挽肉に調理済み焼き豚の端材を混ぜたり、国内大手国産鶏肉販売会社のビニール袋を使ったりして、外国産(中国産・タイ産)の鶏肉を詰めて同販売会社から仕入れた国産鶏肉として販売していた。

 1997年頃以降は、挽肉に水と大量の化学調味料を投入したり、牛挽肉に豚肉・鶏肉を混入したりするなどの偽装を恒常的に行っていた。

 A社の肉を使い大手食品会社の子会社が製造した冷凍ビーフカレーを食べた客から「肉が臭い」とクレームもでてきた。同子会社が商品約7,000kgを回収し、A社に約542万円の損害賠償請求がなされたが、これに対しA社は、「従業員が誤って羊肉を混ぜた」と過失を装い製造物責任(PL)保険の保険金約320万円の支払いを受けていた。それ以降も、偽装肉をめぐるクレームや回収などのトラブルが度々あり、回収したカレーはA社が引き取り、関連会社の飲食店で使用していた。

 さらに2000年以降は、様々な仕入れ先から賞味期限ぎりぎりの食肉を安値で購入し、牛挽肉に混入して牛肉と称して販売していた。その際、「牛挽肉に豚肉を混ぜる」「豚や牛の内臓を混ぜる」「豚の挽肉だけを出荷する」「牛肉に見せかける為に家畜の血液で赤く着色」「赤みが強く混ぜると牛肉と見分け出来ない豚の心臓を混ぜる」「腐臭を発する様な肉を仕入れ殺菌処理」「表示シールを貼替えて出荷」等のさまざまな手法が取られた。取引先から稀に苦情が有ったが、直ぐに謝罪して製品を引き取ったので、偽装は発覚しなかった。

 2001年頃には、挽肉にパンを混入、2002年頃には、「牛脂に豚脂を混入させたものを「牛脂」と表示し販売」「国産牛スライスの5~20%に外国産牛を混入」「本社工場で冷凍肉の解凍に雨水を使用」「道内の冷凍食品会社から本来廃棄する予定の賞味期限切れが近い冷凍コロッケを格安(卸価格の約3分の1;1個5~10円)で最大8万個を購入し再利用」「冷凍食品(冷凍コロッケ、フライドチキン、焼き鳥等)の賞味期限や原料肉の加工月日の改ざん」などの不正を行っていたことが、次々と明るみにでた。
 

事件の影響

1 市場環境への影響

  • 北海道の再発防止対策、市の給食食材抜打ち検査方式や同業他社等の対策ではDNA鑑定の定期的実施やDNA検査機器の導入が盛り込まれるようになった。また小売店等からは民間の食品検査機関等にDNA鑑定依頼が増えるとともに小売店側から「検査済み」証明書をメーカーや卸業者に要求する動きも出るように」なった。
     
  • JAS法には、中間処理業者を処分する規定がないため、農林水産省は、A社に対し2007年9月に厳重指導を行うとともにJAS法上の原材料表示を、業者間で取引される製品へも義務付ける方向で検討を開始した。
     
  • A社に関する告発情報の対応に関して、農林水産省と北海道間で齟齬があり、摘発が遅れる結果となったことから、改善策が策定された。 

2 社内への影響

  • A社の従業員は組合を結成して抵抗したが、2007年6月から7月にかけて71人全員が解雇された。
     
  • A社は、負債総額約6億7000万円を抱え、2007年7月自己破産を申請、8月には、社長も自己破産を申し立てて受理された。
     
  • 100%牛肉と偽って納入していた悪質性から、社長等経営陣は、不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で逮捕された。

参考資料

[ 新聞・雑誌 ]

毎日新聞、東京新聞、北海道新聞、中日新聞、日本食糧新聞

[ インターネット ]

朝日.com 、 YOMIURI ONLINE 、 NIKKEI NET 、日経BP、 Fujisankei Business i 、産経WEB 、時事ドットコム、マイライフ手帳@ニュース、 Wikipedia

投稿者 社長のためのリスクマネジメント情報 :2007年12月20日

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