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名物和菓子の消費期限偽装

概 要

 老舗和菓子製造販売業のA社は、30年以上にわたって自社の主力商品である餅菓子の消費期限改ざんや店頭売れ残り品の再利用などの不正行為を行って、販売を展開してきた。

 

内 容

 三重県の老舗和菓子製造販売業のA社は、「作りたての商品をその日の内に提供する」というキャッチフレーズを掲げ、自社の主力商品である餅菓子等の販売を展開していたが、かねてから消費期限を改ざんしたり、店頭売残り品のむき餡・むき餅の再利用などの不正行為を行っていた。また製造工程に、社内規定にない冷凍工程を加えるなど不正に繋がる環境を醸成していた。

 偽装を開始したのは、30年以上前にさかのぼり、主力商品の出荷調整を目的として、製造年月日・消費期限を既に表示してできあがった和菓子のうち、販売店に出荷しなかった商品を冷凍保管し、注文に応じ「まき直し(再包装の意)」と称して解凍・再包装し、その日を新たな「謹製日」(製造年月日)として、消費期限も書き直し再出荷するというものであった。

 2004年以降、毎年内部告発と思われる情報が保健所に通報されたが、不正行為を見抜くことができなかった。A社は、店頭売残り品の再利用について終始隠蔽してきたが、2007年8月農林水産省・東海農政局に寄せられた匿名情報に基づき同局と伊勢保健所がA社本社工場等への立入り検査を実施した結果、A社の主力餅菓子の製造年月日偽装が判明し、同年10月農林水産省によるJAS法に基づく行政指導がなされるに至った。またこの不正事実の発覚により、食品衛生法に基づき三重県から本社工場の、次いで名古屋市から名古屋工場の、大阪市から大阪工場の営業禁止命令から出されるとともに関連会社に対しても行政処分が下された。

 その後、A社は改善報告書の提出、経営陣刷新、組織再編、冷凍設備撤去、老朽設備改修等の不正再発防止策を推進し、三重県による最終確認、営業禁止処分解除を受け、2008年2月、一部工場の廃業など規模を縮小(当初は直営3店舗から)して営業を再開した。

 

事件の影響

1 市場環境への影響

  • 三重県では、県内菓子業者の約1870事業所に対し、日本農林規格(JAS)法・食品衛生法の順守状況等について緊急実態調査が実施された。
  • 本件発覚(2007年10月)以降、同種事例の農林水産省への告発が急増し、同月は過去最多の697件(前月の約2倍、前年同月の約5倍)にのぼり、4月以降同月までの累計は2148件と、過去最多となった。
  • 三重県でも、10月以降県庁や保健所への食品の不正に関する告発が、100件を越し急増した。
  • 2007年は、本件を含め菓子製造会社、食肉加工会社、料亭等による産地・原料の偽装や賞味期限の不正表示が多発し、食品に対する消費者の不信感を助長した。

2 競合他社への影響

  • 土産店からA社の製品が姿を消したことにより、競合他社の餅菓子の売れ行きが増大し、一時名古屋駅地下街の土産物店等で売切れ続出の状態となった。
  • 三重県内の複数の菓子製造販売業者は、一時的には前記のように売れ行きを上げたが、A社と同様の偽装が相次いで発覚する結果となり、同業界の浄化 につながった。

3 社内への影響

  • A社は、無理な販路拡大路線が偽装の原因だったとして、冷解凍設備の撤去、大阪市・名古屋市の工場廃業等を進め、それまでの主力商品の餅菓子4万2000箱の日産能力を超えた営業・販売はしない方針に転換した。
  • A社は、会長が退陣するとともに経営陣6人中社長を除く創業家4人の取締役が退任し、創業家色を薄める経営陣の刷新が行われた。
  • A社は、製造日偽装や店頭売れ残り品再出荷等の経緯や原因について、A社が行う調査、業務改善の内容の検証及びコンプライアンス体制構築・品質管理体制見直し・再発防止・社員教育等について提言を行う7人の有識者からなる社外第三者機関「コンプライアンス諮問委員会」を設置した。

 

参考資料

[新聞・雑誌]

東京新聞、中日新聞、中国新聞、西日本新聞、四国新聞、福井新聞、北國新聞、北海道新聞、週刊東洋経済

[インターネット]

asahi.com、YOMIURI ONLINE、NIKKEI NET、日経BP、毎日jp、Fujisankei Business i、MSN産経ニュース、時事ドットコム、Wikipedia、OhmyNews

投稿者 社長のためのリスクマネジメント情報 :2008年3月24日

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